電気工事士どのような資格なの?
電気工事士とは、読んで字のごとく電気工事をするための資格であるのは間違いないですが、「具体的にどういった電気工事が出来る人?」というのはあまり知られておりません。
資格に関しては、こちらのサイトでご紹介している第二種電気工事士とその上位資格である第一種電気工事士の2種類あり、それぞれが行える電気工事の範囲は以下となっております。
【第一種電気工事士】
500kW未満の自家用電気工作物(中小工場、ビル、高圧受電の商店等)(ネオン工事及び非常用予備発電装置工事を除く)および一般用電気工作物(一般家屋、小規模商店、600V以下で受電する電気設備等)の工事に従事することが可能。
【第二種電気工事士】
一般用電気工作物(一般家屋、小規模商店、600V以下で受電する電気設備等)の工事に従事することが可能。
まぁ、簡単に説明しますと、家の電気工事などであれば第二種電気工事士の資格があれば可能ですが、よくビルの屋上などにある高圧受電設備(俗にいうキュービクル)などの電気工事に関しては第一種電気工事士の資格が必要になってきます。
ちなみに、wikiで確認したところ以下のような定義も書かれておりました。
電気工事士法の定めにより、原則として電気工事士の免状を受けているものでない限り、一般用電気工作物および500kW未満の自家用電気工作物の工事に従事することはできない(違反した場合には懲役または罰金の規定がある。なお、500kW以上の自家用電気工作物の工事は適用除外)。
例えば家の中のコンセント口が調子悪いのでネジで開けてゴニョゴニョ修理するのに関しても電気工事士の資格が必要であり、違反時は書かれている通りの罰則があるとのこと。
家の配線修理して懲役喰らった人は聞いたことはないですが、一応法律ではこういう定義となってますので、電気に関する工事、修理に携わる場合は必ず必要になってくる資格と言えます。
電気工事士の将来性
第一種、第二種の電気工事士で取り扱うことが出来る電気設備に関しては先ほど書かさせて頂きましたが、今後は以下のような分野においてもその需要は広がっております。
- 太陽光発電/風力発電/地熱発電などのクリーンエネルギーの分野
- スマートハウスに代表される家庭内の電力最適化、蓄電池などの分野
- スマートグリッド(次世代送電網)への国家的な取り組み
これらの仕組み、取り組みを電気工事士だけで作るのはちょっと無理がありますが、電気を扱う以上、電気工事士が必要不可欠であるのは言うまでもありませんね^^
また、電気工事士の免状があれば将来的に独立して仕事を請け負うことも可能になります。もちろん個人でやるからにはそれ相当の実務経験も必要になってきますし、電気工事以外にも高圧設備の点検業務が出来る電験3種などの資格も取って仕事の幅を広げてからが無難と思いますが、電気関係の仕事で独立を考えてる方は迷わず取っておきたい資格であるのは確かです。
第二種電気工事士の資格を取得し、現場経験を積みながら第一種電気工事士、電験3種とステップアップさせていく方が大半で、日々技術習得や勉強に取り組んでいらっしゃいます。
将来電気工事士が圧倒的に不足する?需要と供給をチェック
電気は少なくともあなたが生きている間はなくなることはありません、様々な産業の発展に無くてはならないモノ、それが電気です。電気工事士の需要は不況の中にあっても常に絶えることはありません。さらに、経済産業省の試算によると近い将来、電気工事士の不足が問題視されています。下記のグラフを御覧ください。
工事の量が1/4に減少するというかなりネガティブな想定であっても、2020年頃から1万人程度の人材不足が見込まれています。また、今後取得してく上位の資格である「第一種電気工事士」は2万人が不足、「第二種、三種電気主任技術者」の不足も懸念されています。あなたの将来のキャリアが、時代のニーズにバッチリはまった形になる可能性がおおいにあると言えそうです。
政府も「電気保安人材の入職者を増やし、離職者を減らすための工夫が必要」と明確に課題を打ち出しており、待ったなしできたるべき電気工事士不足対策を迫られている実情があります。このような背景から、今後ますます電気工事士の需要は高まる事でしょう。
電気工事士の資格は現場で生きる超実践型
資格といえば「ひたすら計算式を覚えたり法律を暗記したりするだけじゃないの?」と言うイメージがあるかもしれません。
電気工事士の資格試験の内容は筆記と実技に分かれており、合格のあかつきには一般家庭内の簡単な配線程度であれば、自分で取り回し出来る程の超実践型の資格です。
古くなったコンセントを交換したり、蛍光灯をLEDに交換したり、コンセントを増設したり等出来るようになっています。
勉強すればするほど、そして実技を練習すればするほど「電気工事士の仕事とはこういうことをやるのだな」と徐々に実感でき、どんどん向上していく自分のスキルが楽しくなる、飽きの来ない取り組みがいのある資格試験です。
無資格で電気工事をすることのデメリット
冒頭で無資格で工事をした場合の罰則について触れましたが、実は電気工事で本当に怖いこととは、無資格で作業した時の罰金や罰則ではありません。本当に怖いのは、感電による事故なのです。
ご家庭の電気の電圧は100Vです。人間は条件が整えば、たった40V程度の電圧でも簡単にショック死してしまうのです。俗に42V(シニ)ボルトという言い方をします。
感電による事故はどのようにしておこるのか、どうすれば感電しないのかも電気工事士の資格を勉強することで知識として身につけることが出来ます。
真面目に勉強に取り組めば、現場で作業に当たるときも正しい知識を持って作業ができるようになるわけです。逆に、きちんと勉強しないと・・・事故をおこすということです。
電気工事士の資格は就職に有利なのか?
電気工事士の求人要項は未経験者歓迎というところもありますが、第二種電気工事士の資格取得者を優遇する求人がほとんどです。企業によっては基本給にプラスして資格に応じて手当が支給される所もあります。
第二種電気工事士資格を持っている方は、電気を安全に扱う基本的知識と技能を備えているということが保証されているので、企業側としてもすでに最初のハードルはクリアしているから安心して採用できる、ということになります。
逆に資格を持っていない未経験者は、完全なる素人「見習い」からスタートする事になりますから、おおきく出遅れる事になります。
資格を持っているということは、単に就職や転職を有利にすすめる手段にとどまらず、「私は取得のために自分で努力する事が出来ます」と言う姿勢を企業に示すことになります。
電気工事士資格取得に必要なモノ
筆記試験では、中学卒業レベルの数学、おもにオームの法則と四則演算の知識が必要です。多くの方がブランクがあるので戸惑うとは思いますが、勉強し始めればすぐに思い出すことでしょう。
計算問題は殆どがパターン化されています。過去問題をやれば、この問題にはこの公式を当てはめればOKという流れが自然とわかるようになって来ます。
筆記試験の合格率はここ数年60%前後で推移しており、資格試験の中では合格率は高い方です。筆記に関しては、真面目に勉強していれば合格は十分可能です。
実技試験では専用の工具が必要です。図面を見ながら実際に電気の配線を決められた時間内に行います。配線に欠陥が見られたり、配線の場所や部品を間違えたり、時間内に完成しなければ失格となってしまいます。以前は年によって30%~60%と当たりハズレが多かったのですが近年は70%と高い確率で推移しています。
このサイトをご覧のあなたは、自分の知らないことに興味があってやってみたい!手に職をつけたい!スペシャリストになりたい!という気持ちをお持ちのことと思いますから、真面目に取り組んでいればあっという間に実技のワザは身についていきます。
試験に合格する頃には、以前とは別人のように配線を取り回すことが出来るようになった自分にきっと驚くことでしょう。
とある新人電気工事士の一日
とある電装会社に就職した電気工事士の1日をおってみましょう。新人社員とは、先日第二種電気工事士に合格したばかりのあなたです。
07:30 出社
建設、配管、土木、消防用設備等様々な業者との連携を図るため電気工事士の朝は早い。なれないあなたはまだ眠たそうです。先輩社員はそんなあなたを厳しくも優しく激励してくれるでしょう。
07:40 今日の現場の段取りの確認
工程表を確認しながら、担当割や今日どのような作業をどこで行うかを確認します。新人のあなたは、自分に与えられた役割を熱心にメモを取っていることでしょう。
08:00 いざ現場へ出発!
工具や図面や資材を社用車に詰め込み、先輩社員と一緒に現場に向かいます。今日の担当ドライバーは新人のあなたです、缶コーヒーで眠気をおさえながら安全運転で現場に向かいます。
08:30 到着
ビルのオーナーに挨拶を済ませ、機材を現場に荷降ろしします。中には100万円以上する試験機材も・・・値段を聞いたあなたはきっと萎縮してしまうことでしょう。
09:00 作業開始
今日の現場はたくさんの業者が一緒に作業しています。他の業者と一緒に作業する場合は連携と挨拶を忘れずに。「おはようございます!」挨拶は基本です。
10:00 蛍光灯をLEDライトに換装する作業
先輩の的確な指示が飛んできます。新人のあなたは、簡単な電気配線作業もおっかなびっくりこなしています。今朝取ったメモを何度も見返しながら慎重な作業が続きます、一瞬も気を許すことは出来ません。
12:00 ホット一息、お昼休憩
ケーブルを運んだり脚立を昇り降りしたり、あなたは腹ペコです。現場周辺に詳しい先輩オススメの定食屋で、他のメンバーと雑談しながらガッツリお昼を食べて午後からの作業に備えます。
14:00 作業完了、火入れ
LEDライトがきちんと点灯するかどうかを確認します、緊張の一瞬です!先輩社員から無線で落としていたブレーカーを入れる合図が送られて来ます・・・どうやら問題なく点灯したようです。
15:00 報告、後片付け
ビルのオーナーと他の業者に作業の完了報告を済ませ。工具や機材のチェックを行います。たとえドライバー1本でも置き忘れると事故に繋がりますから、きっちりと揃っているか確認して撤収します。
16:00 現場から引き上げ
今日は作業が順調だったので、予定通りの時間で帰社できそうです。あなたは1日中緊張していたので少々お疲れモードです。しかし会社に帰ってからもう一仕事残っています。
17:00 帰社後、明日の現場の荷物の積み込み
今日の作業報告をまとめたり、現場が遠い場合は前日の内に荷物の積み込みを済ませておきます。あともう少しです、もうひと踏ん張り。
17:30 明日の現場の段取りの確認ミーティング
明日の現場の確認や段取りを確認します。疑問点はなるべく質問してメモをとっておきましょう。
18:00 帰宅
お疲れ様です、長いようであっというまの一日が終わりました。
電気工事士は、毎日同じ場所に勤務するわけではなく色々な現場に出向いて作業することがほとんどです。ときには難しい現場や辛い現場もあるでしょう、しかし色々な現場を経験出来る分、同じ場所で勤務し続ける一般的な会社員とは比較にならない経験と成長スピードを実感出来ることと思います。
まとめ
電気工事士とは、電気を扱うスペシャリストなお仕事です。少しは身近に思えてきたのではないでしょうか?電気工事士資格のポイントは以下のとおりです。
- 将来性があり、今後おおきな需要が見込まれる
- 実践的な資格であり仕事に使える
- 真面目に取り組めば誰でも合格出来る
電気工事士の経験を詰めば、さらに以下のようなさらなるステップアップも可能です。
・電気工事士をさらに極めるため、独立開業する道へ
・電気工事の施工管理へ進み、数億円規模の工事を扱うビッグプロジェクトへ
・電験3種を取得して高圧設備の管理のお仕事へ
・電験1種を取得して、変電設備等の特別高圧設備を扱う専門技師へ
・電気工事の現場経験を活かして電気設備の設計者の道へ
第二種電気工事士の資格は、まさにあらゆる電気関係の仕事の登竜門的な資格と言えますので、これから電気に関する業界を目指す方はぜひチャレンジしてみてください!