第二種電気工事士の試験対策を行う上で、知っておくべき試験の合格点/合格率を過去数年分の筆記試験、技能試験毎にまとめて管理人視点で以下の3つのポイントで調査・分析を行いました。
- ポイント1 筆記と技能の合格基準について知ろう!
- ポイント2 過去の第二種電気工事士試験の合格率はどのように推移している?
- ポイント3 統計から見える求人倍率と合格率の意外なカンケイとは?
特に3番目のポイントは、合格率だけを眺めていても決して気がつくことが出来ない部分なので是非とも目を通して頂きたいと思います。
第二種電気工事士の資格をゲットするなら今が絶好のチャンスということがはっきりと分かる大変興味深いデータが出ています。
筆記と技能の合格基準について知ろう!
試験種別 | 試験時間 | 配点 | 合格基準 |
---|---|---|---|
筆記試験 | 120分 | 1問当たり2点 2点×50問=100点 | 60点以上 |
技能試験 | 40分 | 欠陥の有無で判断 | 欠陥がなければ合格 |
筆記試験は60点以上、技能試験は正確な課題作成が鍵
第二種電気工事士の筆記試験は、計算問題、機材の鑑別、法規に至るまで電気に関する幅広い内容が出題されます。なので、出題範囲は結構広いと言えますが、出題頻度が高い問題も多いため過去問をキッチリ理解して解けるようになれば攻略は出来ると言えます。
また、ボーダーは60点なのですが、見方を変えれば40点分は解けなくても合格できます。なので、苦手な範囲を強化する時間があるなら得意な範囲をより確実に解答出来るように対策するのがベターかと思います。
技能試験の合格判断基準については、以下に記載してあるとおり正確に課題をこなすことが大変重要になってきます。
合否は作品の欠陥の有無の判定結果に基づき試験委員会で決定されます。
欠陥のない作品が合格となりますので、課題の要求に適合した作品を時間内に作成できるように技能を習得してください。
ただし、技能試験に関しては試験が行われる年の1月頃に上期/下期の試験で出題される13課題の候補問題が電気技術者試験センターより事前に公表されます。
※詳しくは当サイトの以下の記事を参照。
制限時間内に重大な欠陥を出すことなく課題を仕上げるのは結構難易度が高いとも言えますが、事前に試験に出る課題を練習することが出来ますので、キッチリやっておけばその辺の不安も解消することが出来ると言えます。
平成28年度から技能試験の欠陥の扱いが変わっています、ご注意を!
平成27年度までは、欠陥には重大欠陥と軽欠陥の2種類があり、軽欠陥は2つまでは合格することが出来ました。平成28年度からは、重かろうが軽かろうが全て欠陥とみなされます。
ですから、何か欠陥があれば一発不合格になりますので、より完成度の高い作品を仕上げる必要が出てきたということです。
上記の欠陥の例では、「左巻き」はもともとは軽欠陥扱いでしたが、これからは欠陥で一発アウトになります。
過去の第二種電気工事士試験の合格率はどのように推移している?
年度 | 申込者数(人) | 筆記試験 | 技能試験 | ||
---|---|---|---|---|---|
受験者(人) | 合格率 | 受験者(人) | 合格率 | ||
合格者(人) | 合格者(人) | ||||
H15年度 | 102,980 | 71,882 | 57.4% | 61,228 | 58.1% |
41,287 | 35,592 | ||||
H16年度 | 104,981 | 74,517 | 60.0% | 62,074 | 56.1% |
44,740 | 34,846 | ||||
H17年度 | 99,445 | 68,849 | 63.9% | 62,336 | 46.3% |
43,990 | 28,856 | ||||
H18年度 | 103,184 | 68,332 | 56.9% | 62,411 | 74.5% |
38,897 | 46,486 | ||||
H19年度 | 95,284 | 73,295 | 58.4% | 55,507 | 68.6% |
42,786 | 38,078 | ||||
H20年度 | 103,851 | 79,345 | 54.5% | 57,970 | 66.9% |
43,237 | 38,768 | ||||
H21年度 | 122,239 | 94,770 | 67.1% | 79,660 | 70.0% |
63,620 | 55,793 | ||||
H22年度 | 131,964 | 98,600 | 59.8% | 79,789 | 68.0% |
58,935 | 54,277 | ||||
H23年度 | 126,931 | 95,075 | 63.1% | 75,295 | 69.5% |
59,979 | 52,341 | ||||
H24年度 | 135,098 | 99,725 | 58.2% | 75,205 | 70.6% |
58,036 | 53,082 | ||||
H25年度 | 146,597 | 109,564 | 62.4% | 84,181 | 76.0% |
68,388 | 64,000 | ||||
H26年度 | 141,889 | 105,528 | 59.0% | 77,881 | 74.2% |
62,272 | 57,751 | ||||
H27年度 | 152,925 | 118,449 | 58.8% | 84,072 | 70.7% |
69,704 | 59,441 | ||||
H28年度 | 152,761 | 114,528 | 58.6% | 84,805 | 73.4% |
67,150 | 62,216 | ||||
平均値 | 122,866 | 90,890 | 60.0% | 71,601 | 68.0% |
54,502 | 48,681 |
上記の黄色で塗ってるところを見てもらえればわかりますが、平成18年度から技能試験の合格率がグン⤴と上がっているのが見て取れると思います。グラフ化してみると違いは一目瞭然です。
実はこの年から技能試験の候補問題の公表(全部で13課題)が始まっており、それが合格率の爆上げに大きく起因しております。
※その年度より前の技能試験合格率が50%前後だったので、試験を受ける側としては非常に有難い制度と言えますね^^
直近5年間での筆記試験はだいたい60%、技能試験は70%と、国家資格としては比較的高い合格率を維持した試験といえます。
しかし、これら合格率の数値は筆記と実技それぞれ単独で見た時の数値になります。両方一発で合格する確率はというと・・・?
次の記事を読んでみて下さい。
筆記試験/技能試験の両方の1発合格率は約40%ちょっと
第二種電気工事士の受験については筆記試験、技能試験をその年度内で受験する申し込み方とは別に、以下のような形で筆記試験が免除となるケースがあります。
- 上位資格保有の条件などで筆記試験が免除となる方
- 前回試験で筆記試験を合格された方
公表されている合格者数/合格率については技能試験から受験されている方も含んだ数値となっておりますので、純粋に筆記試験/技能試験を一発で合格した人の確率を正確に算出することは出来ないんですね。
しかし、筆記試験/技能試験のそれぞれの合格率を掛け合わせた結果、以下のような形でその年度の筆記試験/技能試験の両方を合格する確率を推測することが出来ます。
年度 | 筆記試験合格率 | 技能試験合格率 | 筆記と技能試験の 合格率 |
---|---|---|---|
H15年度 | 57.4% | 58.1% | 33.4% |
H16年度 | 60.0% | 56.1% | 33.7% |
H17年度 | 63.9% | 46.3% | 29.6% |
H18年度 | 56.9% | 74.5% | 42.4% |
H19年度 | 58.4% | 68.6% | 40.0% |
H20年度 | 54.5% | 66.9% | 36.4% |
H21年度 | 67.1% | 70.0% | 47.0% |
H22年度 | 59.8% | 68.0% | 40.7% |
H23年度 | 63.1% | 69.5% | 43.9% |
H24年度 | 58.2% | 70.6% | 41.1% |
H25年度 | 62.4% | 76.0% | 47.5% |
H26年度 | 59.0% | 74.2% | 43.8% |
H27年度 | 58.8% | 70.7% | 41.6% |
H28年度 | 58.6% | 73.4% | 43.0% |
平均値1 (H15~H28) | 60.0% | 68.0% | 40.8% |
平均値2 (H18~H28) | 59.9% | 71.3% | 42.7% |
筆記が免除されていない方が一発合格を目指す場合、突破できる確率が推測値として平成15年度~28年度の平均で40.8%となっております。
電気系分野の中では第二種電気工事士は初級資格に位置付けてはおりますが、それほど簡単な試験ではないと言えますね。(まぁ、電験3種のように合格率10%未満とかではない分、マシと言えばマシですが)
さらに、平成18年度から実技試験の事前公表が始まってからの一発合格平均値は、少し上昇して42.7%となっていますから、これから電工二種を受験される方はこちらの数値を基準にすると良いでしょう。
統計から見える求人倍率と合格率の意外なカンケイとは?
参考:政府統計の総合窓口
-> 職業別労働市場関係指標(実数)(平成11年改訂)(平成12年4月~)
-> 職業別労働市場関係指標(実数)(平成23年改定)(平成24年3月~)
新規求人倍率とは、1人あたりの求職者に対してどれだけの求人数があるのかを示しています。すなわち、この数値が大きければ大きいほど人手不足であるといえます。
平成15年~28年の間をみてみると、電気工事の仕事については一度も1.0を割り込んだことが無いことがわかります。比較のために一例をあげると、事務一般職はいつも1.0を割り込んでいるような状況で、需要があまりない職種と言えます。
電気工事の求人倍率は、平成20年のリーマン・ショック後も1.0を割ることなく、平成23年のあの東日本大震災の後は落ち込むどころか、むしろ求人倍率が増えており、どのような経済状況であっても底堅く需要のある職種であると言うことが出来ます。
また、平成18年度から技能試験の合格率が跳ね上がった時期と有効求人倍率を比較すると、2.5~3.0当たりまで増加した時期とぴったり合致します。とっても不思議ですね~(笑)
深読みになるかもしれませんが、電気工事士の深刻な不足にこれ以上拍車をかけないため、合格のボーダーを下げる対策が打たれたのではないか?とも推測することが出来ますね。
1つには、先ほど申し上げた技能試験の13課題の事前公開がありますが、我々受験者には見えない部分で微妙に合格基準の調整も行われているのではないかと思われ、合格率は下がるどころか高い状態を維持し続けています。
そして近年も求人倍率は2.0以上という高い数値で推移しており、平成28年には3.0以上と人手不足の状況が顕著になってきています。これは、後継者不足やベテラン技術者の高齢化による引退や少子化が背景にあるようです。
国や業界としては是非とも人材を確保したいところでしょうから、第二種電気工事士の資格を取得するには、今はまたとないチャンスと言えるのではないでしょうか?
- どのような経済状況でも底堅い需要がある
- 後継者不足や世代交代で人で不足で売り手市場である
- 国や業界も新しい人材を求めている
「今がチャンス!」とは言えナメてかかると痛い目に合うので万全の準備を
第二種電気工事士の資格を取ろうとしている方には、今まさに追い風が吹いてるのでこのチャンスを逃す手はありません。筆記試験対策、技能試験対策をキッチリ行えば1発合格は十分可能であるといえます。
合格基準にもあるように全てにおいて100点満点を取る必要はありませんので、筆記は出題頻度の高い部分を集中して勉強し、技能においては候補問題を制限時間内に作成できるように練習すれば合格への道は開けると思います。
ただし、技能試験に関しては出題される問題がわかっていても、作業におけるコツやテクニックを知らないとかなり苦労すると思います。また、最初にお話したように欠陥の扱いが厳しくなったこともありますから、独学ではなかなかその辺りをマスターするのは難しいので、そういう時には技能対策用DVDがついている講座などで実際に自分の目で見て理解することが合格への近道です。
当サイトでご紹介している通信講座に関しては、いずれも技能対策用DVDが付いておりますので不安に思われる方は是非チェックしてみてください。